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『太平洋戦記3 最終決戦』は太平洋戦争の開戦から終戦までを1ターン=3日の規模で再現する戦略シミュレーションゲームです。 シリーズの集大成としてデータ、システムとも格段に強化・洗練されており登場兵器数は前作の493種類から1099種類、根拠地数は185箇所から293箇所と大幅にスケールアップしています。 またビルマやインドネシアなどアジア各地における親日政権の樹立や中立国との貿易、満州や樺太における油田探査、特殊潜航艇による港湾奇襲などの新ルールを満載。ゲームの操作性やCPU側の思考も大幅に強化されています。 更に前作で好評だったデータエディタ機能も強化し、プレイヤーが作成したオリジナル兵器を生産したりエディット中のセーブなども可能となっています。 ゲームには日本、米国、英国、ソ連、中国、濠州の他に満州、タイ、仏印、蘭印、満州、ビルマなど15カ国が登場。マップの範囲はインドからハワイまでの広大な範囲を網羅しており、根拠地数は293箇所に上ります。 また進め方次第で米本土やパナマ運河、マダガスカル、大西洋でも戦いが繰り広げられます。 プレイヤーは日本陸海軍を指揮するだけでなく兵器開発や資源採掘、兵器生産、徴兵、外交、占領地での治安維持など戦争指導の全てを行います。
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前作同様、本ゲームの特長は綿密なリサーチに基づく詳細なデータにあります。 例えば兵器は艦船1隻、航空機1機、戦車/シャーシ1両、火砲1門、兵員1個分隊、発動機1基、誘導弾1発単位で扱われ、物資も鉄鉱石、原油、ボーキサイト、アルミ、軽油、重油、弾薬、セメントなどが全て1トン単位で再現されます。 |
ゲームに登場する艦船は戦艦「大和」「長門」をはじめ空母、巡洋艦、駆逐艦、水雷艇、海防艦、潜水艦、水上機母艦、飛行艇母艦、潜水母艦、甲標的母艦、敷設艦、掃海艇、工作艦、タンカー、輸送船、そして各種特設艦船など398クラスに上り、「あきつ丸」や「神洲丸」、「山汐丸」などの陸軍艦艇や「超大和」「阿賀野改」「大鳳改」などの計画艦や架空艦も多数登場します。 またエディタ機能を使って「赤城と加賀の近代改装が遅れた状態で1939年に日米が開戦したら?」「ドイツ海軍の水上艦部隊がアジアに回航されたら?」といった歴史のifや仮想戦を再現できるよう、本ゲームでは3段飛行甲板時代の赤城、加賀や金剛代艦、近代改装前の古鷹や妙高、蒼龍原型、更にドイツ艦やイタリア艦などもデータ化しています。 艦船は甲板装甲と舷側装甲、速力と燃費、航空機や物資の搭載能力などが詳細にデータ化されており、飛行甲板に銃防御を施した装甲空母、甲標的による港湾攻撃、工作艦による損傷修理、飛行艇母艦による航空基地支援、輸送艦による高速揚陸など艦型による特性も再現されます。 また艦型ごとに1ターンに工事される規模が違うので、戦時急造艦である「橘型駆逐艦」や「丁型海防艦」などの優位性も再現されます。 空母では「輸送モード」をルール化(発着艦ができない代わりに通常の2倍の航空機を搭載可能)した他、飛行甲板長や速度を「飛行場能力」として数値化する事により正規空母と護衛空母の差(流星などの新鋭機を運用できない)もリアルに再現されます。 艦船の兵装は主砲、副砲、角砲、機銃、魚雷などが口径別に再現され、各兵装の門数や残弾数も艦船1隻ごとにデータ化されています。 もちろん射程や威力も武装により異なるので、スケール的には戦略級のビッグゲームでありながら個々の戦闘も緻密に再現されます。
艦船の建造はプレイヤーが自由に行えるので「雲龍」型空母を大量建造したり「信濃」を戦艦として完成させる事もできます。 また既存の艦船の改装も自由で、対空火力や対潜能力の強化、他艦種への改装などが行えます。 例えば5500t型軽巡は高角砲を搭載した対空型、魚雷発射管を多数装備した重雷装型、大発と大型クレーンを装備した高速輸送艦に改装できます。 艦型には架空のものも多数用意されており7千トン以上の巡洋艦は航空巡洋艦に、1万トン以上の大型艦のほとんどは空母への改装が可能です。 特型や陽炎型駆逐艦の主砲を高角砲に換装した防空駆逐艦なども用意されているので、プレイヤーの戦略に合わせた艦隊を整備する事ができます。 艦船の建造や修理は造船所のドックで行い、新たなドックを建設する事もできます。 ドックには大型、中型、小型の3種類があり、ドックのサイズにより入渠できる艦船が制限されます。 なお竣工済の損傷艦は内地に回航しなくても前線で工作艦による修理が可能です。
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航空機は各国の戦闘機、爆撃機、偵察機、輸送機、水上機、飛行艇など352機種が登場。 航空機は搭載する発動機や武装などにより様々なバリエーションがあり、零戦だけでも21型、22型から2式水戦まで12タイプが開発可能です。 航空機開発は三菱や中島などメーカー単位で行われ、開発の進め方によっては試作に終わった「震電」や計画が打ち切られた「陣風」、超重爆「富嶽」、ジェット戦闘機「火龍」などを量産する事も可能です。 他にも雷電の陸軍版「キ46」やマウザー砲搭載の「3式戦丙型」、「4式重爆」の航続距離延伸型、英国のジェット水上戦闘機「ソンダース・ロー」など多彩な航空機が登場し、太平洋の大空を舞台に死闘を繰り広げます。 航空機は速度や旋回性能、火力、生産コスト、乗員数、整備性、故障率などがデータ化されており、戦闘機でありながら偵察が可能な「2式複戦」や高高度迎撃が可能な「キ108」、雷撃も急降下も可能な「流星」など、各機種ごとの特性を精密に再現しています。 航空機が搭載する爆弾は250s、500s、800s、航空魚雷、そして「イ号誘導弾」などの対艦誘導弾に細分化されており、搭載する爆弾と搭載数により航続距離も変化します。 なお対艦誘導弾は航空機と同様1発単位で生産され、攻撃隊の発進時に爆撃機に搭載されます。
各航空機には「零戦系列」「紫電系列」などの系列がデータ化されており、基本型である零戦21型が開発されれば派生型である52型や2式水戦などが開発可能となるので、史実にとらわれず戦況に応じて必要な航空機を開発できます。 また本ゲームでは「栄」「誉」「熱田」など94種類の発動機もデータ化しています。 ひとくちに誉と言っても銀河や流星の「誉1型」、紫電改の「誉2型」、排気タービン搭載の「誉2型ル」、陣風の「誉4型」など様々なバリエーションを再現しています。 発動機の完成度は航空機の性能に大きな影響を与えるので入念な開発計画が必要ですが、プレイヤーの開発次第では誉1型を完成度の高い優秀発動機として実用化する事も可能です。 なお発動機の欠陥露呈による開発遅延やドイツの技術援助による生産性アップなどもルール化しています。
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陸上兵力は「歩兵」「騎兵」「工兵」などの兵員、「95式野砲」「41式山砲」などの火砲、「97式中戦車」「4式中戦車」などの戦車、そして飛行場設営用の「ブルドーザー」や弾薬運搬用の「トラック」など158種類が登場。 他にも日本海軍の水陸両用戦車「特2式内火艇」や設計のみに終わった「ナト車」、拠点防御用の「要塞砲」などもデータ化されています。 また機械化の遅れた日本軍を再現するため「軍馬」をユニット化しました。 軍馬は日本国内で動員され、火砲の牽引や陸戦時の弾薬運搬に使われます。 各陸上兵力は対部隊火力、対装甲火力、銃撃火力、射程などの他に踏破力のデータを持ち、悪路に強い山砲や対戦車砲と野砲の違いなども再現されています。 また本ゲームでは戦車や火砲牽引車など97種類のシャーシをデータ化しており、解体した97式中戦車のシャーシを流用して1式砲戦車や4式自走砲を生産したり、前線の火砲を解体して牽引用のトラックを弾薬運搬用に充てる事なども可能です。 なお陸上兵力の能力はゲーム中に「タ弾」「装弾筒付弾頭」「ロタ砲」などの科学兵器開発により変化します。
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本ゲームは兵器や根拠地のデータが細かいだけでなくゲームシステムも戦略級ビッグゲームに相応しく詳細なものになっており、太平洋戦争いをリアルに再現しています。 例えば科学技術開発でレーダーやソナー、タ弾などを開発する事により戦闘を優位に進める事ができます。ドイツからの技術援助があればより高度な技術開発が可能になり、マウザー砲搭載の3式戦丙型やHs293対艦ミサイルなど特殊な兵器も生産できるようになります。 外交においてはビルマやインドネシアにおける親日政権樹立や戦況悪化による同盟国の離反、仏印やタイへの進駐などもルール化しています。 前作のユーザーの方から特に要望が多かった機能としては発進地点以外に着陸する「通過爆撃」をルール化しており、ウルシー泊地に対する丹作戦やドーリットル空襲が再現できます。 その他にも工場生産と資源採掘の操業率、航空機用燃料のオクタン価、訓練による搭乗員練度の向上、国家による陸軍士気の違い、空母による陸上機輸送、単座機の長距離飛行時における行方不明、ドイツへの潜水艦派遣、占領地での不穏分子摘発と鉄道敷設、輸送潜水艦による物資補給などがルール化され、太平洋戦争の局面をを多角的に再現しています。 個々の戦闘においては空挺作戦による工場の無血占領、旋回砲塔と固定砲塔の差別化、敵根拠地に対する艦砲射撃、対潜哨戒や船団の之字運動、甲標的による泊地攻撃、敵陣地に対する破砕射撃、上陸作戦時の機雷掃海、気温による地表の凍結や泥濘などのルールが満載です。 もちろん史実の再現だけでなく歴史のifを追求したい方のために満州や樺太での油田探索や「富嶽」「キ91」による米本土爆撃、伊400潜水艦によるパナマ運河爆撃、米本土西海岸やインド洋での通商破壊戦なども行う事ができます。 また欧州情勢による影響もルール化されており「フランスが降伏しなかったら?」「バルバロッサ作戦が発動しなかったら?」など様々な状況を再現する事が可能です。
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前述の通り詳細なデータと太平洋戦争の再現度が本ゲームの特徴ですが、ゲームが煩雑になったりプレイヤーの手間が増えてしまうのでは本末転倒です。 そこで本ゲームではプレイを円滑に進めるための便利なルール、機能を多数搭載しています。 例えば本作では日本国内での物資や艦船を管理する「国家備蓄」をルール化しました。 日本国内の中央根拠地(東京と鉄道でつながった根拠地)で採掘された資源、加工された物資、生産された航空機、発動機、陸上兵力、シャーシ、甲標的は全て国家備蓄に繰り込まれストックされます。 またプレイヤーは国家備蓄と中央根拠地の間で、物資や兵器の配備/抽出を行う事ができます。 例えば大阪から青森まで物資を移動させたい場合、どちらも中央根拠地なので大阪の物資をいったん国家備蓄に抽出して青森に配備すれば道路を使わずに1ターンで移動可能です。 (無論、国家備蓄を介さずに道路や船で運ぶ事もできます) にのようにデータの種類や数が増えてもプレイが煩雑にならないよう、様々な配慮がなされています。 |
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またマップ上に工場や資源の位置や兵力分布、飛行場の大きさなどを一目で確認できる補助マーカーを表示できるので、各根拠地ごとにデータを見なくても直感的に状況を把握できます。 その他にも船団の定期航路や根拠地間の物資移動を登録して自動的に移動させる事ができ、登録されている航路や物資移動のセーブ/ロードも可能です。 加えて移動元と移動先を指定するだけで長距離の物資移動を設定する長距離物動機能、兵器の生産や物資の搭載を記録するパターン生産/パターン搭載機能、セーブデータごとにメモを残せるメモ帳機能、距離と装備を選択すれば最適の編隊を編成する自動編成機能、狭い海峡を通過するためのマップ拡大機能、艦隊や個艦の名称変更機能、兵器の生産数と損害を累計機能マップ上の距離を簡単に測れるスケール機能など、プレイアビリティを向上するための便利な機能を多数搭載しています。
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前作で好評だったデータエディタ機能もパワーアップして搭載しています。 本作ではエディットミスの自動検知やエディット中のデータセーブも可能になりました。 エディタ機能を使えば根拠地の兵器や物資、各兵器の性能データなどを変更できるので「もしミッドウェー海戦に翔鶴と瑞鶴が参加していたら?」など、好きな設定でゲームを開始できます。 また本作ではプレイヤーが作ったオリジナル兵器を生産、運用する事も可能になりました。
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