クリームヒルト
クリームヒルトはお料理をしています。
メニューは若鶏のフリカッセです。
5時に父さんが帰って来ますからそれまでに夕食を作らねばなりません。
母さんは姉さんと一緒に学校のバザーに出かけていて留守なので今日こそはクリームヒルトの腕の見せ所です。
さあ、はたしてフリカッセはうまく出来るでしょうか?

若鶏のフリカッセに必要な材料は鶏肉と玉葱、茸、ベシャメルソースにミルクです。
まずベシャメルソースを作り、伸ばす為にミルクを少し暖めておきます。
それから鶏肉を切るのですが、脂がギトギトしてなかなか上手く切れません。
母さんや姉さんは、いつも何の苦もなく切ってるのに。
ふぅ、やっと切れたので鶏肉をフライパンに放り込んで炒めます。
そこで横の鍋を見ますと・・・

大変!
ミルクは暖めるどころか泡を吹いて吹きこぼれています。
慌ててクリームヒルトは鍋の火を止め周りを雑巾で拭きます。
ミルクは暖め直せば済む事です。
何の心配もありません。
ところが・・・

今度は鶏肉がフライパンの中で焦げています!
あぁ、茸をまだ洗っていません!
玉葱も皮がついた丸のままです!
いったい、どうなるのでしょうか?

父さんはビーダースハイムの郊外で農場をやっています。
農場から家までは車で10分、今は4時45分ですからもう父さんの車の音が聞こえて来るかも知れません。
ああ、聞こえて来ました!
今日はいつもよりちょっと帰りが早かったようです。
よりにもよって今日早く帰って来なくてもいいのに!
父さんの足音が一歩ずつ近づいて来ます。

「ただいま」
「父さん、わたしもう駄目だわ!とてもフリカッセが作れそうにないの・・・」


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