ヒルデガルト
ヒルデガルドの家系はとっても格式のある貴族なの。
お父様は男爵でモーゼル河のお城にはそれは美しい薔薇園があるのよ。
お父様とお母様は従兄弟同士で彼女とそっくり、町には3人の肖像画があちこちにあるわ。
信仰深く慈愛に満ちたお父様は町中の人に愛され慕われヒルデガルドも忠実な家臣達と働き者の領民達に囲まれてすこやかに育っていったわ。

でもね・・・
たったひとつだけ困った事があったの。
それは、お父様、お母様、ヒルデガルドのお顔がとてもゴツくて領民達は全くそれが言い出せなかったの。
それ以外は完璧な領主様なんですもの。
とても領主様が悲しむ事なんて言えないわ。
そこで領民達は「お美しい領主様、奥方様、ヒルデガルド様」と言い続けたわ。
ウソも方便ね。
心清らかなヒルデガルドはウソをつかれているなんてユメにも思わず「私は美しい」と信じたの。
ヒルデガルドがあんな顔なのになぜかツンデレなのはきっとそのせいね。
悲しいお話だわ。


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