第5回設定資料集
前回は大艦巨砲主義をテーマに仮想戦を御紹介した。 今回のテーマは再びマイナーな史実戦に戻る。 設定の追加は「18.コーチャン島沖海戦」の僅か1本だけだが新艦型の追加は6種、更にフリーセットアップのマップが7枚に増えたので存分に楽しんでいただきたい。 |
18.コーチャン島沖海戦:1941.1.16 夜半 タイ王国は英領ビルマ、マレー、仏領インドシナ(仏印)に囲まれた東南アジア唯一の独立国である。 この様な地理的環境にあるタイ王国が帝国主義の嵐が吹き荒れる19世紀末に独立を維持するのに大きな困難が伴う事は明白であろう。 当然の事ながら最も危険な敵は国境を接している英仏となる。 この両国が揃って攻め寄せてくれば当時人口700万人であったタイ王国はあらがうすべもなく滅い去る。 だが英国としてはタイを二分して仏印と国境を接するよりも緩衝遅滞として存続し続ける方が望ましい。 そこで当面の敵はフランスに絞られる。 まず1893年7月、フランス政府はメコン河周辺地域の仏印併合を目指し砲艦2隻をタイに派遣し威圧を加え国境紛争を勃発させる事に成功する。 かくして1893年の10月に締結された協定でメコン河周辺地域の一部が仏印に割譲されてしまう。 その後1904年の協定によって割譲地域はさらに拡大される。 もしも英国の思惑による干渉が無ければタイ全土が仏印に併合されていったかも知れない。 なおメコン河周辺地域を割譲する事で当面のフランス政府による領土要求は終了したがタイ人はフランスに対する屈辱を忘れる事は無かった。 さてそれから長い年月が経った1939年9月、ヨーロッパで第2次世界大戦が勃発した。 英仏両国が本腰をいれてドイツと対決するには後顧の憂いを取り除いて置かねばならない。 そこで英仏両国はマレー、ビルマ、仏印の保全を図る為、1940年6月、タイ王国と不可侵条約を締結するに至った。 この時、タイ王国政府はメコン河周辺地域の返還をフランスに要求したが拒否されている。 だが翌月、ドイツ陸軍装甲部隊の電撃戦によりフランスはあえなく屈服し南仏にビシー政権を樹立せざるを得なくなった。 そこでタイ王国政府はビシー政権に対し再び領土返還を要求したのであるが今回もまた拒絶されるに至った。 かくして両国の関係は険悪化して行ったのである。 そして1940年9月、ピブン首相を首班とするタイ王国軍は軍事行動を開始し11月には国境紛争が勃発するに至った。 国境紛争に際しタイ王国海軍主力部隊もバンコックからサヒタップに進出、1月にはユッタキット大佐の部隊(海防艦S・アユタヤ及び水雷艇トラッド、プーケット、スラスッタ、漁業保護艇1隻)とビラバン大佐の部隊(海防艦トンブリ及び水雷艇ラヨン、ソンクリ、チョンブリ、敷設艇ノンサライ、漁業保護艇1隻)がコーチャン島沖に停泊していた。 一方、サイゴンに在泊していたフランス極東艦隊はD・トルーアン型軽巡ラモット・ピケ及びブーゲンビル型通報艦A・シャルネー、D・デュルビル及び小型艦2隻により第7戦隊を編成しタイ王国艦隊を襲撃せんとしていたのである。 分散行動をとっていたタイ王国海軍部隊に対するフランス艦隊の襲撃は見事成功し1941年1月17日朝の戦闘でタイ王国海軍は海防艦トンブリ、水雷艇チョンブリおよびソンクリを喪失(他に水雷艇トラッドが大破)し大敗北を遂げた。 だがもしも前夜の内からタイ王国海軍が集結して行動し夜戦でフランス艦隊を迎え撃っていたらあるいは勝機があったかもしれない。 日本軍ゲーム上兵力 第1駆逐隊 S・アユタヤ型1、プーケット型3 第2駆逐隊 S・アユタヤ型1、プーケット型3 米軍ゲーム上兵力 第1任務部隊 D・トルーアン型1、ブーゲンビル型2 日本軍は1式弾を使用してはならない。 ソロプレイの場合、マップはスタンダードを使用する。 対戦の場合、マップは両者協議のうえ決定する。 |
GS公認自由編成ルール |
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「いそしち」氏の提唱によるフリーセットアップの自由編成が広く諸氏にプレイされているらしい。 また「マーフィ大尉」氏による改善案なども掲示されており自由編成は活性化の一途を辿っている様だ。 そんな中、GSの公式自由編成を決定してほしいとの依頼が「H.TOIVONEN」氏より提示された。 ここはひとつやらずばなるまい。 「いそしち氏」の着想はなかなか面白くシンプルで良いのだがいかんせんシンプル過ぎると感じられる所がありレーダーに対する評価も今ひとつな所がある。 レーダー搭載艦を無条件に1.5倍とすると米海軍の新型戦艦は殆どその姿を見せなくなってしまうであろう。 そこでまず艦船のポイントを私なりに設定しなおしてみた。 最初に戦艦であるが排水量60000t以上の大型戦艦(すなわち大和型、超大和型、モンタナ型)と40000t以上の戦艦(アイオワ型)及びその他の一般的サイズの戦艦に区分する。 次に一般的サイズの戦艦を機関区の装甲250o以上の通常型戦艦と250o未満の巡洋戦艦型戦艦に区分し各々をレーダー搭載の有無で細分化して見よう。 こうすると戦艦は6段階になる。 次に巡洋艦だが排水量約1万t(9500t以上とする)の重巡及びこれに相当する大型軽巡グループ(条約型重巡、条約型軽巡、無条約期の新型巡洋艦)、これに準ずる9500t未満7000t以上のグループ(古鷹型、エクセター型、パース型など)、7000t未満4000t以上のグループ(長良型、D型、アトランタ型など)、4000t未満の小型巡洋艦グループの4段階に区分する。 なおレーダー搭載巡洋艦は排水量1万tのグループのみにしか存在しない。 そこでレーダー搭載の1万t巡洋艦を別格として設定する。 更にバルチモア型を1段階上に設定するか悩んだが最終的に戦艦、巡洋艦、駆逐艦を合わせると17段階にもなり他にも別格を増やしたくなるので諦める。 さて次は駆逐艦だ。 まず秋月型、島風型など2500t以上の大型駆逐艦を別格化する。 更に大型駆逐艦のうちレーダー搭載のA・M・サムナー型を区分しよう。 次に1000t未満の小型駆逐艦をグループ化するのも問題ない。 さて残った一般的駆逐艦をどう分けるか? レーダー搭載のフレッチャー型だけで1段階となるのは当然だ。 だが残りをどう分けるのか? 排水量で分けるのか、能力で分けるのか、建造時期で分けるのか? とりあえずここはひとつ戦艦や巡洋艦に合わせて排水量で区分して見る。 神風型やクリムソン型、V型などロンドン条約以前の駆逐艦は全て1300t未満のようだ。 そこで1300tを境に一般的駆逐艦を2分する。 「1300tを境にするとは妙だなあ?1000tから2500tを分けるなら1750tじゃないのか?」と考えられる方も多いと思うのであらかじめお断り申し上げて置く。 さてこれで戦艦6段階、巡洋艦5段階、駆逐艦6段階の計17段階となる。 そしてこれを1等艦〜17等艦にしてポイントをつけた。 各軍の総ポイントはとりあえず40、60、80、100の4段階としよう。
1式弾の使用は基本的に「両者協議の上の決定」とするが「日本軍が1式弾を使用する場合は連合軍側のポイントを1.5倍する」と言うルールにしても良い。 旗艦ばかりになっては困るので1部隊は最低2隻以上とする。 ゲーム開始後、独航艦にするのはさしつかえない。 各等級にどんな艦型が含まれているかの一覧表や各艦型毎のポイント早見表は後日掲示するので御待ち戴きたい。 他にも色々とルールを用意しているが諸氏の後意見を取入れ整備していきたいと考えている。 |