発動機は燃料と空気を燃焼させ動力を産み出すもので、この燃焼室をシリンダー(気筒)と呼びます。
燃焼室ですからシリンダーは当然、熱くなります。
このシリンダーを冷却するのには空気を利用する方式と水(もしくは液体)を利用する方法があります。

シリンダーを放射線上に配置し、空気の冷却面積を広くしたのが空冷星形発動機であり、クランクを
主とした内部構造及びシリンダーを主とした外部構造によって構成されます(右図参照)。
当然の事ながらシリンダーの容積が広い(=排気量が大きい)ほど得られる動力が大きくなります。

それでは排気量を増やすにはどのような方法があるでしょうか。
まずシリンダーの内径(ボア)を太くる方法がありますが、シリンダーの冷却効率が悪くなります。
次にストロークを長くする方法もありますが、発動機直径が太くなるので空気抵抗が増大します。
最後に内径もストロークも変えずに排気量を増やす方法として複列化があります。
つまり7気筒エンジンを2個繋げて14気筒の複列エンジンにすれば、排気量が2倍になる訳です。

【空冷星形7気筒発動機】

さて発動機を性格付ける要素にはシリンダー、気筒数、そして用途の3種類があります。
まずシリンダーですが、サイズが等しければ同一系列と見なせます。
例えば中島の9気筒エンジンは爆撃機用が(160×180o)、戦闘機用が寿(146×160o)でした。
しかし光はそれ以降発達せず、代わりに寿の14気筒版がハ5及びハ34として爆撃機用になりました。
そして戦闘機用には(130×150o)が新たに開発されたのです。
なお爆撃機用の14気筒発動機としては(155o×170o)も開発されましたが、早期に量産中止されています。
一方、栄を18気筒化したのが、ハ5系を18気筒化したのがハ44です。
そしてハ44を2基連結させたハ54も計画されています。

三菱の場合、開戦時に瑞星(140×130o)、金星(140×150o)、火星(150o×170o)の3種類のシリンダーによる14気筒発動機を量産していました。
そして火星の18気筒版が爆撃機用のハ42、金星の18気筒版が戦闘機用のハ43に発達しました。

水冷発動機は戦前においては川崎系航空機が装備したハ9、大戦中に量産された熱田系ならびに改悪型のハ70ハ72があり、小型発動機には天風がありました。
またその他ではネ20に始まりネ230ネ130ネ330などに続くジェットエンジンがあります。

詳しくは掲示板の過去発言(発言864〜914)をご覧下さい。
シリンダー
(内径×ストローク)
9気筒
14気筒
18気筒
140o×130o 瑞星(28.0)
140o×150o 金星(32.34) ハ43(41.6)
150o×170o 火星(42.1) ハ42(54.1)
146o×160o 寿(24.1) ハ5(37.5) ハ44(48.2)
130o×150o 天風(17.91) 栄(27.9) 誉(35.8)
160o×180o 光(32.6)
155o×170o 護(44.9)
※カッコ内は排気量を表します。

ゲームに登場する日本発動機一覧
三菱 種別 工数 開発ポイント 備考
瑞星1型 空冷 0.5 0.4 0 130oの極短シリンダーを使用した14気筒発動機。
過給器は1速である。
金星4型 空冷 0.6 0.4 0 150oの短シリンダーを使用した14気筒発動機。
過給器は1速である。
火星1型 空冷 0.7 0.5 320 170oの長シリンダーを使用した14気筒発動機。
過給器は2速である。
瑞星2型 空冷 0.6 0.4 80 瑞星1型の過給器を2速化した性能向上型。
金星5型 空冷 0.6 0.5 280 金星4型の過給器を2速化した性能向上型。
火星2型 空冷 0.8 0.6 160 火星1型に水メタ噴射装置を付加した性能向上型。
ハ42-1型 空冷 0.9 0.6 160 火星の発達形で170oの長シリンダー18気筒発動機。
火星25型 空冷 0.8 0.5 120 火星2型の減速比を改良した性能向上型。
金星6型 空冷 0.7 0.5 120 金星5型に水メタ噴射装置を付加した性能向上型。
ハ43-1型 空冷 1.0 0.7 120 金星の発達形で150oの短シリンダー18気筒発動機。
金星6型ル 空冷 0.7 0.6 140 金星6型に排気タービンを付加した高々度性能向上型。
火星26型 空冷 0.8 0.6 100 火星25型の吸入口と過給器を改良した性能向上型。
ハ43-4型 空冷 1.0 0.7 100 過給器をフルカン接手にした性能向上型。
ハ43-5型 空冷 1.0 0.7 100 過給器を3速にした性能向上型。
ハ43-1型ル 空冷 1.0 0.7 80 排気タービンを付加した性能向上型。
ハ42-2型 空冷 1.3 0.6 80 水メタ噴射装置、燃料噴射装置、排気タービンなどを付加した性能向上型。
中島 種別 工数 開発ポイント 備考
空冷 0.5 0.4 0 180oの極長シリンダーを使用した9気筒発動機。
過給器は1速である。
寿 空冷 0.4 0.4 0 160oの中シリンダーを使用した9気筒発動機。
英国製ジュピターを原型とし改良を加えた傑作発動機である。
ハ5型 空冷 0.6 0.7 0 寿を14気筒化した発動機、過給器は1速。
栄1型 空冷 0.5 0.6 140 150oの短シリンダーを使用した14気筒発動機。
過給器は1速である。
ハ34-01型 空冷 0.6 0.7 340 ハ5の回転数を増大させた性能向上型。
栄2型 空冷 0.6 0.7 240 栄1型の過給器を2速化した性能向上型。
ハ34-11型 空冷 0.7 0.8 100 ハ34−01の過給器を2速化した性能向上型。
空冷 0.9 0.7 140 170oの長シリンダーを使用した14気筒発動機。
過給器は2速である。
誉1型 空冷 0.8 0.8 140 栄の発達形で150oの短シリンダー18気筒発動機。
誉2型 空冷 0.8 0.8 140 誉1型の回転数を増大させた性能向上型。
栄3型 空冷 0.6 0.7 180 栄2型に水メタ噴射装置を付加した性能向上型。
誉2型ル 空冷 0.8 0.8 180 排気タービンを付加した高々度性能向上型。
ハ44型 空冷 1.2 0.9 140 160oの中シリンダーを使用した18気筒発動機。
高々度用なので排気タービンも付加されている。
誉4型 空冷 0.8 0.8 140 過給器を3速にした性能向上型。
ハ54型 空冷 2.4 1.8 140 ハ44を2基連結した36気筒発動機。
富嶽用である。
その他 種別 工数 開発ポイント 備考
広94型 水冷 0.8 0.7 0 広廠の開発による水冷18気筒W型発動機。
95式陸攻に装備された。
ユ式1型 水冷 0.9 0.8 0 独のユンカース製水冷12気筒発動機。
92式重爆に装備された。
ハ9型 水冷 0.6 0.9 0 BMW6型を原型とする水冷12気筒発動機。
過給器は1速。
天風 空冷 0.3 0.3 0 150oの短シリンダーを使用した日立の9気筒発動機。
練習機などで多用された。
A80型 空冷 0.7 0.9 0 イタリアのフィアット製空冷14気筒発動機。
イ式重爆に装備された。
熱田2型 水冷 0.6 1.5 740 DB601を原型とする水冷12気筒発動機。
過給器は2速。
ハ72-11型 水冷 1.4 2.7 300 熱田2型を2基連結したキ64用発動機。
熱田3型 水冷 0.7 1.6 220 熱田2型に水メタ噴射装置を付加した性能向上型。
ハ70型 水冷 2.0 3.3 160 熱田3型を2基連結し排気タービンを付加した景雲用発動機。
KR10型 ジェット 0.2 0.2 100 秋水に装備されたロケットエンジン。
ネ20型 ジェット 0.5 0.4 120 橘花に装備された日本初の実用化ジェットエンジン。
ネ230型 ジェット 0.9 0.5 100 日立の開発によるジェットエンジン。
ネ130型 ジェット 0.8 0.5 140 石川島芝浦タービンの開発によるジェットエンジン。
ネ330型 ジェット 1.2 0.5 140 三菱の開発によるジェットエンジン。
※同じシリンダー長でもメーカーによって太さが違うので同一シリンダーではありません。
※画面およびデータは開発中のものです。